ガイ・バーター著、北綾子訳『英国王立園芸協会とたのしむ 植物のふしぎ』(河出書房新社、2018年)
翻訳本なのでどうしても特有の読みにくさがあるかと思いきや、全ページにカラーの絵がついており非常にとっつきやすい。例えば「ハーブはどうしていいかおりがするの?」というようなひとつの問いをテーマとし、見開きで解説する構成になっている。
サボテン関連では「植物は水なしでどれくらい生き続けられる?」という項目がある。この項目では明確に水無しで耐えられる期間は示されていないが、例として、南米チリのアタカマ砂漠に生息するコピアポア竜魔玉が紹介されている。
アタカマ砂漠とは「世界でもっとも乾燥し降水量が少ない地域として知られているばかりでなく、アンデス山脈の存在により標高も抜群に高い」*1とのこと。まさにサボテンマニア垂涎の地であるわけです。
そのような環境で生き抜くためにサボテンを始めとしたある種の植物は、専門用語で言うCAM型光合成(ベンケイソウ型有機酸代謝)という光合成をしているそう。サボテン関連のことを調べていると時々このワードを目にしますね。
サボテンや多肉植物に特化した内容はそれほどありませんが、植物の基礎的な知識を読みやすく紹介しており、面白い本です。
*1:河野孝太郎 理学の現場 第3回 アタカマ砂漠 ASTE望遠鏡 東京大学学術機関リポジトリ