L・H・ベイリー著、編集部訳『植物学名入門 - 植物の名前のつけかた』(八坂書房、2017年)
サボテンの名前を調べており学名の付け方に興味がわいたので手に取った。「あとがき」によれば本書の原著が記されたのは1933年。ベイリーは日本でも戦前の農学・園芸学関係者に多大な影響を与えた、とのこと。非常に骨太な本ですね。
面白かった部分。
“学名”といったら、リンネが思い浮かぶ人が多いと思うが、彼が所謂、「二名法」を考案するまでは、植物の名前を記載するのに非常に苦労していたということ。
例えば、カーネションは「Dianthus floribus solitariis, squamis calycinins subovatis brevissimis, corollis crenatis」[単生花をつけ、短いやや卵型の萼片と、円鋸歯状の花冠をもつDianthus]。リンネはこれをDiathus Caryophyllusと命名。
学名はラテン語なので理解が難しいと思っていたが、リンネ以前と比べたら今は随分と簡単。やはり簡潔で分かりやすいのは大事ですね。その後の学問の発展はこういったシンプルなシステムが前提だったと感じました。
なお「あとがき」で紹介されていた文献。
豊国秀夫『植物学ラテン語辞典』(至文館、1987年)
Amazonで調べたら22年1月現在の価格が約13,000円。やはり学術書は高額。
どうしても学名の意味が知りたい人はどうでしょうか。